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−>>2020/07/05/(Sun) STC社製クリップNDフィルターテスト。

 STC社から発売された、マイクロフォーサーズカメラ用クリップフィルターは、カメラマウントにフィルターを挿入することができる撮影アイテムだ。
 国内で、よしみカメラが取扱を開始したということで早速購入し、撮影テストを行ってみた。
 
 ※参照:https://yoshimi.ocnk.net/product/237



 GH5などミラーレスカメラでの撮影が増えてきた昨今だが、現場……特に屋外で面倒なのがNDフィルターだ。
 一般的なビデオカメラと違い、ミラーレスカメラにはNDフィルターが内蔵されていないため、レンズ前に別途NDフィルターを取り付けるなどして運用する必要がある。
 動画撮影に於いては、シャッター速度は固定値が原則だ。シャッター速度:1/60か1/100が基本で、演出意図があって初めてシャッター速度を変える。
 動画撮影の場合は露出の調整のためにシャッター速度を調整することは無い。

 動画撮影での露出調整にはアイリスとゲイン(ISO感度)の2つを調整するのだが、ミラーレスで得られるボケを活かすためにアイリスを開放で固定して、ゲインを下げていっても、露出を適正にできない事がある。
 特に、GH5sなど明るいカメラを使っている場合は、F1.2やF2.4などといった明るいレンズの開放端を活かそうとすると、マイナスゲインだけでは下げきれない。

 そこで、NDフィルターを入れて光量を低減させ、最適な露出を得る。
 標準レンズや望遠レンズなどであれば、レンズ前用のNDフィルターを用意する。レンズによってフィルター径が違っても、ステップアップリングなどを使えば、同じフィルターを共用できる。
 だが問題は、広角レンズだ。
 タイムコード・ラボの場合は、広角レンズに OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO を使用しているが、レンズ前にフィルターが取り付けられない構造になっている。


<広角レンズ OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO >


 サードパーティー製のフィルターアタッチメントを使えばフィルターワークも可能になるのだが、使用できるフィルターが 150mm角の大きな物になり、また価格も一枚あたり2万円前後と高価だ。NDフィルターは光量によって使い分ける必要があるため、2〜3種類の濃度のものを揃えておくのが普通だろう。アタッチメントと合わせて一式10万近くなり、なかなかおいそれと手が出せなかった。

 そんな中、登場したのが STC社のマイクロフォーサーズカメラ用クリップフィルター。
 このフィルターは、カメラ側のレンズマウント内部、撮像センサーの直前に挿入することで、フィルターの効果を得られるものだ。
 NDフィルターの他にも星空撮影の光害カットフィルターなども揃っている。


 レンズの形状に左右されず、共通形態となるマウント側にフィルターを入れられるため、広角や魚眼レンズのようなレンズ前にフィルターが取り付けにくいタイプのレンズであってもフィルターが活用できる。
 また、カメラマウント側に固定されるために、レンズ交換を行ってもフィルターを付け替える必要が無いため、素早いレンズチェンジが可能になる。


 実際にセンサー前にクリップフィルターを挿入してみると、かなりしっかりと固定され、グラついたり回ってしまうような事も無い。
 マウント部分に乗せただけでは、リング部分が浮いてしまうので、指先でしっかりとリング部分を押させて「填め込む」必要がある。



 取り外す時は左右に設けられた小さな羽根部分に指の爪を引っかけて外す。慣れないうちはなかなか取り外せず、また爪が長いと上手く力がいれらなかったりと、取り外す方が難しかった。

 また、センサー近傍で作業するために細心の注意を払う必要がある。
 クリップフィルターの素材はステンレス鋼で薄く、カメラ本体に傷を付ける恐れもある。また指がセンサー部分に触れてしまうリスクもあるので、慎重に作業したい。


 
 さて取り扱い方が分かったので、早速屋外でのテスト撮影を行った。
 季節は7月初旬で梅雨の合間。天気は地面に影が落ちるぐらいの薄曇りだ。時間は15時〜。

 カメラは Panasonic DC-GH5s。
 レンズは OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO。
 動画撮影を前提としているので、シャッター速度を1/60に固定しての調整となる。

■フィルター無し:


 まずは、フィルター無しで撮影してみる。
 適正な露出を得るには、アイリス:F22/Gain:-8dB となった。
 確かに NDフィルター無しのシャッター1/60でも撮影は可能なのだが、ゲイン:-8dB(ISO:160)ではダイナミックレンジは狭くなるし、アイリス:F22 では小絞りボケによる画質低下が如実に現れる。
 全く現実的な調整値では無いし、また Gain:-8dB/アイリス:F22 は最低値でこれ以下が無いため、設定の幅がゼロということになる。

■ND8:


 次にSTC社製クリップNDフィルターの ND8 を取り付けて撮影してみる。
 シャッタ速度は 1/60のままにし、また Gainも基準感度の 0dB(ISO:400)にしてアイリス調整だけで適正値を出す。 
 結果は、ND:1/8/アイリス:F13/Gain:0db となり、パンフォーカス撮影などの意図があれば、この値でも使えるアイリス値まで絞れた。

■ND16:


 次に ND16を入れてみる。
 ND8の際にアイリス:F13が適正値だったので、理屈上は ND16でアイリス:F9.5 となる筈だ。
 実際には、GH5sのアイリス調整が、F13・F11・F10・F9.0であったので、適正値はF9.0となった。

■ND64:


 ラインナップとしては ND32が欲しいところなのだが、現状 ND16の次は ND64となっており、がっつりと減光するステップまで飛ぶ。
 理屈上は、ND64で F5.0前後が適正値になるが、この時はやや雲が薄くなったのか F5.6が適正値となった。

 GH5sの高感度では、ND64を入れても Gain:0dB/シャッター1/60で、アイリスは F5.0〜5.6ぐらいとなった。

■ND64/アイリス:F2.8


 OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm は開放端が F2.8 なので、ボケを活かした撮影を行おうとすると、F5.0からさらにアイリスを開く必要がある。
 開放 F2.8 にした場合のテストも行ってみたところ、Gain:-8db(ISO:160)にしても適正よりもやや明るくハイキーな映像となり、少なくとももう半絞り分は露出を下げたい。
 シャッターを 1/100程度まで下げれば適正になるだろうが、いずれにせよGain:-8dbということになる。
 開放 F2.8/Gain:0dB/シャッター:1/60で利用するならば、ND256のような濃厚なNDフィルター搭載のものが必要になりそうだ…。(そんなのあるの?)
 Gainをプラス方向に持って行くならば ND400 という製品はあるのでISO:1600にしてアイリス開放を得ることもできるだろう(デュアルネイティブISO採用の GH5sならば画質的にも問題ないはず)

 ND64を使って気になったのが、ホワイトバランスの差異。
 現場の液晶モニターでは気が付かなかったのだが、ラボでプレビューするとかなり赤く回っている。
 ホワイトバランスは固定で触っておらず、またND64のあとND8などのフィルタに入れ替えてテストを続けているが、ND8やND16だとホワイトバランスは元に戻っている。
 ND64のホワイトバランス問題は追試が必要になりそうだ…。

■ケラレチェック
 よしみカメラのWEBサイトには“一部の魚眼レンズ、超広角レンズ、広角レンズでの撮影はケラレやボケ現象を発生する場合があります”と書かれている。
 製品に添付の取扱説明書にも“14mm以上の焦点距離のレンズで撮影ください”とあるので、今回使った OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO はギリギリの焦点距離だ(35mm換算で 14-28mmとなる)。
 空を撮影して、周囲にケラレなどが発生していないか確かめた。



 結果は、アイリス開放でも絞り気味でも問題ないことが分かった。
 ケラレはレンズやカメラの組み合わせによっては出たりする恐れがあるので、事前にしっかりとチェックしておきたい。
 
■まとめ
 念願だった OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO での NDフィルターワークがこれで実現した。
 実は、丁度マウントNDフィルターを自作しようかと考えていた矢先の製品発表だった。マウント側にフィルターを入れるというのは昔からある手法だし、実際に放送用レンズの B4マウントにフィルターを入れて独自の世界観を演出している先輩カメラマンも前の会社にはいらっしゃった。
 
 現場でマウントフィルターを使う場合は、安全確保と段取りが大切になってくるとテストでは感じた。
 特に、NDフィルターを交換したい場合は、レンズをカメラから外し、フィルターもカメラから外し、そして別のフィルターを取り付ける。
 これを1人でやろうとすると、外したレンズをどこに置くか、どう置くか? フィルターの入れ替えの段取りをどうするか?
 これらをちゃんと考えておかないと、繊細なカメラの撮像センサーを長い時間外気に晒すことになる。
 2人体制になると、レンズやフィルターの交換もずっと楽に早くなるので、安全のためにもアシスタントやディレクターには積極的に手伝って貰おうと思う。


<GH5sの撮像センサー部>



<屋外だと気を遣う事が多い。フィルターも誤って地面に落としてしまうと…>



<違和感なく取り付けられた、クリップフィルター>



 また、複数のクリップフィルターを所持しないといけない都合から、付属の別々のケースに収めるのでは無く、ひとまとめにしたフィルター収納を使うと現場での取り回しが楽だ。
 私が使うことにしたのは、100円均一のコスメコーナーに売っていた何かのケース。女性がこれをどう使うのかは知らないが、ちょうどクリップフィルターが入り、重ねて1本にできる。


 ズボンのポケットなどにも入るので、持ち運びも楽で、ケースがバラバラになることもない。フィルターが増えた場合でも、更にスタックできるので拡張性もある(笑)

 今後は電動ジンバルの Libec TH-G3 を使った屋外撮影なども増えてきそうなので、今回購入した STC社製クリップNDフィルターが活躍しそうだ!

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−>>2020/07/30/(Thu) Libec TH-G3 用自作「軸ロックアタッチメント」


 Libec の電動ジンバル TH-G3 を導入して手から丸3ヶ月が経った。
 ジンバルを現場で効率的に使っていくために、いろいろと工夫を重ね、実戦投入でも力を発揮してくれた。
 が、同時に、実戦して行く中での課題も見えてきた。

 特に、現場で煩わしさを感じたのが、電動ジンバルの電源を切っている時に、回転軸をロックできないことだ。
 電動ジンバルは、セットアップの段階で静バランスを取る。電源を切っていても、水平状態が保たれて傾かないようにする事だ。
 この静バランスは、レンズキャップを外しておくのは当然のこと、カメラのバッテリーや液晶モニターの角度、ズームレンズなら焦点距離までも予め決めてからセッティングしないと崩れてしまう。
 それほど、シビアなモノだ。
 上手く静バランスが取れていれば、ジンバルの電源を入れていても切っていても水平は保たれる。


<静バランスの取れている状態ではジンバルの電源がOFFでもバランスが保たれる>



<キャップの有無や液晶モニターの角度が変わると、静バランスが崩れてカメラが回転する>


 しかし、移動中や待機中などでは、レンズキャップは取り付けておきたいし、液晶モニターも折りたたんでおきたい。
 そうすると、当然ながら静バランスは崩れて、カメラはジンバル雲台ごと大きく傾いてしまう。
 当然、移動すればグルグルと回転を起こし、非常に煩わしくなる。

 現在、最新モデルの DJI RONIN-SC や Zhiyun CRANE 3S では各軸に対するロック機構が備わっているのだが、電動ジンバルとしては周回遅れの Libec TH-G3にはロック機能は備わっていない。
 次のモデルでは改善されてくるとは思うが、問題は今の TH-G3 だ。

 そこで、3Dプリンタを使って「軸ロックアタッチメント」を自作した。
 作りは簡単で、直行するそれぞれの軸をアタッチメントで固定するだけだ。
 3DCGソフトを使って、それぞれの軸用のロックアタッチメントをモデリングし、それを3Dプリンタで書き出した。。



 上手くやれば、ワンタッチでロックできるアタッチメントも作れそうなのだが、カメラやそのセットアップで、ジンバルのアームの位置などが変わったりもするので、今回は敢えて3軸分をバラバラに作成した。


 ロールとピッチは同じアタッチメント形状でロック可能で、ヨー軸だけは専用の形となった。
 ただ、ヨー軸は直行するアームが無いため、少しロックの精度が甘くなってしまった。こちらは、運用しながら改良方法を見つけて行きたいと思っている。


<ロールとピッチのロックアタッチメント>



<ヨーのロックアタッチメント>


 「軸ロックアタッチメント」を取り付ければ、レンズキャップを取り付けたり液晶モニターを畳んだ状態でも、軸がグルグルと回ること無く安心して持ち運べる。


<レンズキャップ有や液晶モニターを閉じても軸ロックを掛けておけば安心>


 簡単な工夫だが、カメラやレンズを保護しつつ、安全にジンバルを運用できるので、作って大正解だったと感じている。


<試行錯誤しながら、今の形状に落ち着いた(左2つが試作モデル)>


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